研究例会のお知らせ

2019年・研究例会(3月)を開催します。
 皆様のご参加をお待ちしております。
日時:3月2日(土)午後3時30分~
場所:専修大学 神田校舎1号館2階 208教室

報告者:清水友理子(一橋大学大学院)
     「観光化する地域と地場産業労働」
    近間由幸(立命館大学大学院)
     「日本の小売業界における「レイバー・スケジューリング原理」の導入過程と労務管理の変容」
◆報告要旨(清水友理子「観光化する地域と地場産業労働」)
 沖縄の観光空間では「青い海・青い空」といった「沖縄イメージ」が海洋博を契機として広がりをみせたが、現在では、そのようなリゾート開発から沖縄の伝統
文化の保全や文化産業の育成に焦点をシフトしている。では、内在する地場・伝統産業は、このシフトにどのように対応しているのか。沖縄の伝統工芸品である琉球ガラスを事例に、
観光客の「まなざし」(gaze)と職人の労働の関係を明らかにする。
 調査の結果、職人達は観光客へのサービス労働も、日々の生産労働も同様に「重要な仕事である」と認めつつも、それら2つを区別していることが判明した。そ
の2つを交互に働くことについてストレスを感じるケースや、うまくバランスをとっているケースがあったが、職人の仕事として、「サービス労働」を「生産労
働」の下位に置くケースが散見された。
◆報告要旨(近間由幸「日本の小売業界における「レイバー・スケジューリング原理」の導入過程と労務管理の変容」
 商業・サービス業の労働の特徴は「単純化・定式化・マニュアル化」であることが指摘されてきた。
小売業界で広まるこのような働き方の要因のひとつはアメリカの小売業界で誕生したチェーン・オペレーションの一環である「レイバー・スケジューリング原理(Labor Scheduling
Program: LSP)」に基づいている。日本では1980年に西武セゾン・グループがLSPを核としたマネジメント・システムの技術移植を試み、90年代以降は、スーパーマー
ケット業界に限らず、専門店や百貨店、外食、コールセンター、物流倉庫やファストフード、コンビニエンスストアなどパート・アルバイトを労働力の主体に置く業態において
導入の試みがなされている。
本報告では、アメリカから導入されたチェーン・オペレーションの一環であるLSPに着目し、ローコストオペレーション型の労務管理が日本の小売業界に普及した
過程と、それが非正規雇用労働者の働き方にもたらした影響を明らかにする。