研究例会のお知らせ

2019年・研究例会(7月)を開催します。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時:2019年7月6日(土)午後3時30分~
場所:専修大学 神田校舎 1号館4階 ゼミ43教室
https://www.senshu-u.ac.jp/about/campus/
*研究例会は約2時間を予定。終了後は懇親会もあります!
報告者:
澤木朋子(明治大学大学院 博士後期課程)
「オーストラリアの雇用における男女平等-Workplace Gender Equality Agencyのデータを基に-」
野村駿(名古屋大学大学院 教育発達科学研究科 博士後期課程/日本学術振興会 特別研究員)
「夢追いアスピレーションの加熱昂進構造と労働問題―『企業に雇われずに働く』働き方を考える―」

◆報告要旨(澤木朋子「オーストラリアの雇用における男女平等-Workplace Gender Equality Agencyのデータを基に-」)

本稿の目的は、1904年に制定されたオーストラリア特有の調停仲裁法、
及び女性労働政策の変化を歴史的経緯から概観し、その特徴を論ずる。
その上でWorkplace Gender Equality Agencyのデータを基にし、
近年のオーストラリアの雇用における男女平等について考察し、日本への示唆を示すことである。
オーストラリアでは長年、調停仲裁制度によって労働条件を決定してきた。
しかし、1980年代に入ると国際的な経済環境の変化の中で調停仲裁制度による労働条件の決定は硬直的で経営者団体からの批判を生んだ。
そこで、調停仲裁制度を廃棄し、使用者と労働者のより個別的な雇用契約に基づく労使関係制度の形成へとすすんでいった。
一方1970年代半ば、オーストラリア社会が大きく変化し、女性労働者の増加に伴い社会全体が「雇用の平等」を重要視していた。
特に「同一労働同一賃金」が女性運動の主たる要求の1つに上っていた。
これら歴史的背景、労使関係制度と雇用に関する男女間の格差是正という点で、
男女平等への道が模索されるようになった。2018年のWGEAのデータであるが、何れの項目も男女平等に近い結果が出ていると言える
◆報告要旨(野村駿「夢追いアスピレーションの加熱昂進構造と労働問題―『企業に雇われずに働く』働き方を考える―」)

本報告の目的は,「音楽で成功する」といった夢を掲げ、
その実現に向けて活動するロック系バンドのミュージシャン(=バンドマン)を事例に,
「企業に雇われずに働く」という労働の内実をアスピレーションの観点で検討し,
企業社会を前提とした研究枠組みを再考することである。
1990年代後半以降の経済不況を背景に、若者の就労・移行問題が繰り返し指摘されてきた。
その中で、日本型雇用慣行をはじめとする従来型の雇用システムの限界が論じられるとともに、
既存の社会システムの埒外に置かれた若者の問題が明らかにされている。
しかし、これまでの研究のほとんどが、企業社会を前提とした雇用労働を議論の対象に据えており,
「企業に雇われて働く」のではない働き方の実態は十分に検討されてこなかった。
そこで本報告では、「企業に雇われずに働く」若者の事例として、夢追いバンドマンを取り上げ、
彼らを対象とした質的調査の結果をもとに、その労働実態と問題性を検討する。